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2009年8月27日 (木)

山と命と遭難事故

今年の夏は、いえ、今年の夏も、山での遭難事故が相次ぎました。

「年々増え続ける中高年登山者の遭難事故」なんて言われますが
そりゃ、みんな年々年を取ってくんだから、誰もがそのうち中高年ですって。(^^;)

 

 

トムラウシの事故は…
ツアーとは言え、ツェルトなどのビバーク用具を持たずに入山したという
参加者自身の落ち度は見過ごせないとは思いますが
私自身がプロとして指導する立場だったことから考えると
やはり、ガイドの責任はあまりに重過ぎると言わざるを得ないと思います。

テニスの場合はレッスン中の事故など、コーチ本人に賠償責任が掛かります。
たとえ、それがテニススクールに雇われてのレッスンだったとしてもです。
(実際に裁判での判例がたくさん出ています。)

「それをすることにより対価を得ている・生業としている」=「プロ」なわけですから
参加者の身の安全を守る責任はとても重たいものなのです。

当然、山岳ツアーのガイドも同じように責任が重たいはずです。
テニスでは重症でも失明程度で済むでしょうが(と、言っていいかどうかですけれど)
山岳ツアーでは、当然命を左右する場面もあるのです。
今回の事故も、ガイドが判断を誤らなければ多くの命が助かったでしょう。

ガイド…ではなく、自分自身が判断するとすれば…
どうすれば、身を守れるのか…?

 

私が深く影響を受けた本があります。
バックパッキング教書(シェリダン・アンダーソン、田渕義雄共著。晶文社出版)です。
有名な本だから、目にした事がある方も多いかもしれません。

父べったりに育った私は、幼い頃から海三昧の生活をしていたので
山や森や渓流に憧れて、この本を読んでバックパッキングにはまったのです。

「荒野(ウィルダネス)における頭脳の常識」という項に遭難に付いての記述があり
私の、自然の中での安全に対する考え方のベースになっています。

曰く。

「山の遭難のほとんどは常識を無視したところで起こっている。
遭難事故のほとんどが、強行軍にある。
明日帰らなければ会社に間に合わないから、という理由で
一体どれくらいの登山者が死んだことになるのだろうか。」

「自分の常識が自分を守る唯一の武器だってことを
信じることの出来る常識を身に付けよう。」

「家の者や会社の人にどんなに迷惑をかけようと
死んで帰るほどの迷惑はないんだって言う常識を、忘れないように。」

 

涸沢で岳の介さんと出会った年に、他にも知り合った方がいました。
その方は、高校生の娘さんと、友人の男性との3人パーティーで
GWの涸沢では、必ず毎年一緒になって楽しく飲んで話す仲間でした。

でも、昨年は会えず…気になっていたら…事故でした。
もの凄いベテランの方だったのに、その事故は地元の低山で起こったそうです。
いつも涸沢でも一緒のパートナーの方と歩いていた時だったそうです。

 

人間って、意外と簡単に死んじゃいます。

 

私の母は、登山に猛反対の人でした。
私が山に登り始めて、何ヶ月も口をきいてくれないほどの反対振りでした。

それほどの反対を受けてまで登っているのだから
何が何でも、絶対に事故は起こせない。
絶対に無事に帰る!!

歩き始めてかなり早い時点でツェルトなどを揃えてエマージェンシーキットを作り
無理をせず、慎重に慎重に歩いていました。

 

今は岳の介さんと2人で歩いていますが
お互いに「1人で歩いてた頃の方が、厳しい歩きをしてた。」と言います。(笑)

2人で歩くことで話をしたり、景色をよく見るようになったりと
何だか、山の歩き方がゆったりペースに変わりました。

以前ほどピークハントにこだわらなくなったし
山小屋でビール飲んでるだけでもとっても幸せ!!
なんて思えるほど、余裕が出て来ました。
(それでもたまにはちゃんと登っとかないとね!!笑)

 

2人で歩くようになって、安全度は2倍以上?
でも、もし何かあれば悲しむ人の数は…。

だから、やっぱり無理をせず、山を歩きたいと思います。

目指すのは70~80代の先輩方の余裕のある山の楽しみ方です。
登れなくても、山を眺めながらビールを飲むだけでもいいじゃないですか。

何でもそう。
モチロン山もそう。
楽しくなければ、ね。

安全でなければ、楽しくはないですから、はい。
安全…その人の嗜好性、体力、技術、装備、天候、ルートの状態などの環境。
全てが影響して来るものだと思います。

私達にとっては、今のペースが安全で楽しい山歩き。
岩は落ちたら死んじゃいそうだし、沢で濡れても寒くて死んじゃいそう(私が!笑)
だから、せいぜいちょっとした鎖やはしごがある程度の山を
のんびりゆっくり歩きます。

慣れてくると、つい自信過剰になって「大丈夫でしょ?」なんて思いがちですが
事故なんて、いつ起こるかわからないものです。

慢心が続けば、いつか「やっぱり気をつけておけば良かった。」と思う日が来ます。
そんな事には絶対にならないように
これからも安全登山を目指し、気を引き締めて楽しみたいと思います。

 

 

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コメント

悲しい話はもう聞きたくないですもんね。
これ以上背負えないもの。

でも、もし自分がそうなったら?って考えると、やはり残された方々の事を考えます。

まったり、のんびり、せめて自分が誰かを悲しませたりしない山にと、細心の計画と判断はしなければと思ったこの夏でした。
遊びなんだから楽しく行きたいですね~

食う寝るさんだ~すさん

>遊びなんだから楽しく行きたいですね~

そうなんです。
楽しくなくちゃ!!

「苦しさを乗り越えてこそ、本当の楽しさがある。」なんて言うけど
世の中「苦しく、辛く、痛いことこそ楽しい。」なんていう
ドMの方も存在するのですから
やっぱり、自分が楽しいと思わないなら止めといた方がいいですよね。

「勇敢だけど、無理しすぎて早死にする人」と
「臆病だけど、無理せずずっと楽しめる人」
どちらがいいのかは一目瞭然。
継続は力なり、ですから、ハイ。(^^)

うんうん。

以前なら無理して突っ込んでいたんだろうけど
今年は自分の力量を考えて敗退しました(笑)
夏の縦走、ちょっぴりクソーって思ったけど
akemiさんも2度目のチャレンジなんだって思ったら
許せました(爆)←何様?

ここんとこ夏の北アは本当にツイてなくて
雨でエスケープとか車が故障とか・・・
4年ぶりだぁとか思ったらまた雨で敗退・・・・
まぁ、焦らずに来年また同じルートを目指します(^^)

あれ、あたしの文章なんかヘンだ・・・

akemiさんの夏の縦走にちょっと嫉妬しちゃいました(笑)
だからクソーって思ったんですけど
今回が2度目だって言うんでじゃあ、許してあげるか、と(爆)

最近、長い間の快晴ってあまり聞かないですよね。
あたしなんか8日間、裏銀座歩いたけど1日だけ雨で、今考えると運よかったなーなんて・・・

こんにちは。私もあのニュースは本当に悲しく怒りさえ覚えました。単独行の場合はすべて一人なのである意味万全の体制でのぞみますが誰か経験者がいるとついついダレることはありますね、私も。家族まったり1泊登山だと忘れ物しまくりですし(汗)でも予備日はしっかり設定してますよ。余裕の無さが一番の事故の原因でしょうね。バックパッキング教書の一文は短文ながらいい文章ですね。(^^)

えびさん

あはは。
詳しい解説、有り難うございます。(笑)
言いたい事、ちゃんと判りましたよ。(^^)

えびさんちの裏銀座はすごいですよねぇ。
あんなに晴れが続いちゃって、ホントにウラヤマシイ!!
そんなに長く山に入ってた事ないし…
同じだけ休みがあったら岳の介さんの実家に帰ったりするから
たぶんこの先もないかなぁ。
だから、ホント結構ウラヤマシイですよ。
年越し登山とも無縁だしね~。

雨敗退、上等です。
雨の中歩き続けたって、荷物は重いし景色は見えないし
足元滑って危なくて、楽しくないです。
ウチも天気悪かったら無理しません。
白馬で尻餅ついて懲りました!(^^;)


腹ペコさん

昨年末の金時山が典型例でした!!
潤平さんのお誘いで行って来たんですが
駅で車に乗せてもらって、登って、降りてきて。
レポを書こうと思ったら…
一体、どこからどのルートで登ったんだかさっぱり???
もう、ひたすらひたすら反省しました。

ツアーとか、ハイキングサークルのオバちゃんとか、多そうですよね。
「リーダーに着いてけば大丈夫でしょ?」って感じで。

ま、家族連れの時なんかのまったり登山だったら
多少何かあっても対処できる所を選んでるでしょうから
ちょっとくらいのハプニングも楽しさのうちでしょうね。(笑)

バックパッキング教書はなかなか斬新な本ですが
私にとっては今もバイブルです。(^^)

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